処刑直前の姫に転生したみたいですが、料理家だったのでスローライフしながら国民の胃袋を掴んでいこうと思います。
よかった……

一度にこんなにたくさん作ったのは初めてであったが、なんともやりがいもあり楽しいものだ。
ひと仕事を終え、充実した気持ちで満たされる。
わたしもぐううとお腹がなり、厨房の隅で食べることにした。
椅子がなくて立ち食いになってしまうが、まぁ許して貰おう。


スープを一口含む。
最初に味見したときより、さらにコクが出ていて、塩気が疲れた体にじんわりと浸透するようだった。
そして麺をつるりと吸い込む。モチモチの弾力。
ああ、このコシが癖になるんだよね。
ちょっと噛みにく、もきゅっとする歯ごたえとさっぱした喉越しがたまらない。大成功だ。


「くうぅ、我ながら美味しいいい~」


味わって感動していると、カウルに手招きされる。


「ゆづか、こっちへこい」


そこは警備隊のテーブルだった。


「でも、」

「いいから来い」

「失礼します……」

厳つい男達が一斉に私の方を見た。
おずおずとカウルの席の隣に座ると、向かいにいたフェンに舌打ちをされてしまう。


す、すみません……わたしなんぞが一緒のテーブルに来てしまいまして。

体を小さくしながら、カウルの隣で黙々と食べた。

わたし天才。
最高。
ビバジャガイモラーメン!

あっという間に平らげてしまう。やっぱり美味しいご飯って幸せ。


「ぼく、おかわりしたい」


小学生くらいの子供が、からになったうつわを持ってきた。
わたしは嬉しくなって直ぐに立ち上がる。


「ありがとう! すぐによそうね!」

鍋の前に経つと、おかわりを待っていた人達が列を作った。
わたしはうれしくて笑顔になる。次々とうつわを差し出す人たちに、ありがとうと言いながらよそっていった。

< 39 / 120 >

この作品をシェア

pagetop