へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




 気持ちを切り替える為に、魔獣達の散歩がてらに、ミアは騎士舎に被害が出ていないか見て回ることにした。



「大丈夫そうだね」



 建物への被害も特に見当たらず、地割れ等の被害もない。確認が取れた所で、魔獣を一度獣舎に戻し、残された門番達に報告をしていると、遠くから馬の蹄の音が重なり合って聞こえてくる。

 見えてきたその姿に瞳を輝かせたミアは、大きく手を振った。



「おかえりなさい!」



 誰一人として欠けていないことに喜びつつ、出迎えの挨拶を発すると、固まっていた騎士達の表情が少しだけだが和らいだ。徐々に走る速度を落として門の前に辿り着き、馬から降りた騎士達の元へミアは駆け寄った。

 見る限り怪我人は誰一人としていないことに安心しつつ、彼らを取り纏めるリヒトの緊張感を漂わせる空気に、唯ならぬことが起きているのだと察する。



「調査ご苦労。班ごとに点呼を。点呼が取れた班から休憩を取れ」


「了解」



 リヒトの指示で一斉に動き出した騎士達の邪魔にならないよう、ミアも静かに動き出す。食堂へと向かい、女将と共に昼食の準備を整え、やって来た騎士達に昼食を運ぶ。





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