へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜
ただ、ひたすらに苦手意識を向けていた感情を克服しないと始まらないと、まずは思い描くことから始めたのだった。
皆だって一生懸命頑張ってるんだし、私だってやれる所までやってみなきゃね!
至る所から引っ張り出してきた召喚術の書物と睨めっこしながら、仕事の合間を見て召喚術を繰り返す。
神獣をいきなり召喚するのは、出来るわけがない。まずは召喚獣でもいいからと、ひたすらに術を発動させた。
案の定、ミアの召喚術は魔法陣からは次々と煙が上がり、度々彼女の悲鳴も上がる。普通の動物ならまだ良しと出来たが、失敗して召喚したもの達には手で顔を思わず覆ってしまう。
「うう……また不発……」
元々綺麗にされていたはずの獣舎は、ミアのお陰で煤で真っ黒になり、《人面魚》や《マンドラゴラ》、大きな唇を持った摩訶不思議な果物などで溢れかえる。
魔獣達の訓練が終わる前に急いで片付け、よく分からないもの達はとりあえず冒険者ギルドに売り払った。
人に害のあるものは召喚せずに済んだとほっとしつつも、意気込んだ気持ちが徐々に弱気な気持ちへと変わっていく。
「私が皆の足を引っ張っちゃってる。これだとお荷物は私だ……」
藁が積まれた小屋の中でボヤきながら、顔から倒れ込むように藁の中へと飛び込んだ。粗方の掃除が終わった頃には、空はもう夕焼け色に染まっていた。