へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜



「俺の場合、ノスタルジアムーンは特に関係ないんだ。ああやって時々獣人の姿になっては、解放感を味わう……そんな感じ?」


「何かに縛られるの?」


「まだ半人前だからコントロールが上手くできなくってさ。このストールについてる魔石で何とかやってるんだけど、さっきは外してたから咄嗟に隠せなかったんだ」


「魔石?」


「そう。ノスタルジアムーンの時でも力をコントロールしやすくする為のね。俺はストールに、団長はペンダントに、副団長はリングに付いてるよ。皆各々持ってて、お守りみたいな物かな」



 そう言ってちらりと見えた犬歯をストールで隠しながら、魔石を見せる。輝く魔石は、確かに普通の宝石とは違う輝きを秘めていた。


 
「団長のペンダントはこないだの戦闘で鎖が切れちゃったらしく、修理に出てたからコントロール出来ずに、ミアの前で獣人化しちゃったんかな?」


「あは、あはは……どうなんだろうねえ……」



 口が裂けても私が団長を召喚したなら……なんて言えない……言ったら殺されちゃう……。


 シュエルから目を逸らすようにして、ぎこちない笑みを浮かべて誤魔化すことしか出来ないミアは、どこかでリヒトが見張っていないか神経を尖らせた。

 ここにいる以上、口を滑らせた直後に背後から魔獣に丸呑みされても何らおかしくない。







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