へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜

6*へっぽこ召喚士と、二人の悪魔





 まだ馴染みのない街を見渡しながら、避難していく人の流れに逆らうようにミアは全力で走る。

 ようやく母親コカトリスの姿が見える場所まで辿り着くと、あまりの大きさにぽかんと口を開けた。

 一般的な成人男性を遥かに上回る大きな体は、狭い道を簡単に塞いでしまうだろう。舗装された綺麗な広い道で母親コカトリスが動く度に、ミシリと音を立てて道に亀裂が入っていく。


 下敷きにでもされたらぺしゃんこにされそう……でもどうにかして近づかないとこちらに気づいてくれなさそうね。


 腕の中にいるヒヨコが何れはこんなに成長してしまうのかと少し複雑な気持ちを抱きつつ、まずは自分に注目してもらえるように、見つけた小さな広間へと走る。

 少し高台になっているこの場所からであれば、目線の高い母親コカトリスの視界に、辛うじて入れることが出来ると判断し、誰だか存じ上げない銅像の台によじ登り大きく息を吸った。



「あなたのお子さんはこちらでーす!!」


「ピヨー!」



 慌てふためいて動く母親コカトリスが暴れて生じる音にかき消されないように叫び、ヒヨコを抱き上げる。声が届いたのか、ミアに背を向けていた母親コカトリスがミアを見つける。

 ただその目には安堵ではなく、どこか怒りが滲んでいて、ミアは咄嗟に銅像から飛び降りて近くの茂みにしゃがみ込んだ。






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