へっぽこ召喚士は、もふもふ達に好かれやすい 〜失敗したら、冷酷騎士団長様を召喚しちゃいました〜




 しかも、この訓練が終わったら、魔獣達の世話もしなければいけないと思うと、今日の疲労具合はとてつもない。

 重たい気持ちを消し去るようにしながら準備に取り掛かると、風が吹き抜け大きな影が落ちた。



「グリフォン!そのまま旋回だ!」


「クルルー!」



 大空を自由に羽ばたくグリフォンの背には、シュエルが慣れた様子で跨って操縦する姿は、見習いとは言えども魔獣騎士そのものだった。他の弓部隊の騎士達も同じように、鳥種族の魔獣達の背に乗って、大空を駆けていく。

 その様子を、地上から見上げるミアは、感動のあまり言葉を失った。

 風を切るように飛ぶグリフォンはとても美しく、白い翼で大空を駆け抜ける、魔獣本来の姿を手に入れたグリフォンを見て気合いが漲った。頑張る彼らのためにも、ここでやれることをこなしていこうとせっせと体を動かす。

 休憩所の設営を何とか終わらせた頃には、大粒の汗がじわりと額に滲んでいた。少し休憩しようと、ミアは林の木陰へと移動して、遠くから訓練する彼らを見つめた。



「ふう……」



 心地よい風が額の汗を拭うように流れていき、動いて熱くなった体の体温を下げていく。

 そっと目を閉じ聴覚を研ぎ澄ませるようにすると、訓練を重ねる彼らの足音や声が、地面を伝って響いて聞こえてくる。








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