エレベーターから始まる恋
お昼になり、社内はガランと殺風景になる。
あれほどピリピリと張り詰めていた空気が、みんなお昼となると意気揚々としたテンションに切り替わっていく。
いつも通りしばらく時間を置いて下に降りるとしよう。
今日はよく行くカフェで期間限定のフルーツサンドをテイクアウトすると朝から決めていた。
10分ほどスマホをいじり、そろそろかと腰を上げる。
10分も経てばスムーズにエレベーターに乗り込むことができる。
目的のカフェはここから3分ほど歩いた場所にあり、お昼時になるとOLの姿をよく見る印象。
女性ウケが良さそうな外観、内装、メニューもおしゃれだから頷ける。
店内の中央に"本日より発売!"と目を惹くPOPと共に、期間限定のフルーツサンドが並べられていた。
私よりも先に来ていた女性客数名は皆一つそのフルーツサンドを手に取りレジに向かっていく。
気づけば残り一つ。
手を伸ばしそれを掴もうとした瞬間、横から別の綺麗な細長い手がすっと伸びてきた。