エレベーターから始まる恋
…ずっと、気になっていた。
どうして私は誘われたのだろう、と。
実はからかわれていて、食事だって本当は嘘なんじゃないかとすら思っていた。

どうして…

「あの、一つ聞いてもいいですか？」

「ん？」

不思議だ。
挨拶するだけの時は表情からは感情が見えなかったのに。
今目の前に座っている郡司さんは、いつもより柔らかい雰囲気を感じる。

その空気感に少し安心した私は自然と口を開いた。

「どうして…私を誘ってくださったんですか？それに、私と一緒にいて、その…江藤さんは、大丈夫なんですか？」

「江藤？どうして君が彼女の名前を？」

郡司さんの切長の目は形を丸くした。
しまったと手を口に添える。
彼女の存在も、電話で話していた"ミチコ"という名の女性も知っている。
それが郡司さんの特別な人なんだろうということも。
でもそれを彼に知られたら、きっと引かれるだろう。

何とか誤魔化そうと言葉を続けた。

「正直、私にはそういう要素ががないというか…今ここに郡司さんと二人でいることが信じられないんです」

すると郡司さんは視線を落とし、ふっと微笑んだ。

「俺にとっては、やっと願いが叶ったってところなんだけどな」

「え…？」

すると、郡司さんはゆっくりと話し始めた。
それは、私の知らない郡司さんの気持ち。


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