エレベーターから始まる恋



「郡司さん、資料できています」

「あぁ、ありがとう」

江藤から、午後に行われるミーティングで使う資料を受け取る。
同じビルの4階にある、精密機器を取り扱うメーカーだ。
以前から取り引きはあり、継続的に部品の仕入れを行なっているのだが、顔を合わせるミーティングは数年振りだそうだ。

江藤と主任と3人でエレベーターに乗り、4階に向かう。

俺たちを出迎えたのは、"石岡"と名乗る中年の男性。
その顔が俺の記憶の片隅にぼんやりと残っているような気がした。
鮮明に思い出せずモヤモヤしながら会議室に通された。

お互い名刺交換を行う。
同じくらいのタイミングでお茶配りに入ってきた女性に一瞬だけ目線を落とし軽く会釈をした。
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