貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
入社式も終わり、周りには席を立つ人も増えていくなか、私と桃花ちゃんは川村さんに言われた通りその場で待っていた。
そして、先に姿を現したのは、「与織ちゃ~ん!」と手を振るみー君だった。もちろん、さっき皆の前で挨拶したばかりだからか、周囲の視線が私に突き刺さってくる。とは言え、うちの兄弟といると大抵こんな感じだから慣れてはいるんだけど。

「さっきの僕の挨拶、見てくれた?」

子犬ばりに愛想を振り撒きながらみー君に尋ねられ、「見たよ!なんで教えてくれなかったの?凄くビックリしたんだから!」と私は勢いよく返した。

「驚くかなぁって思って」

ニコニコしながらみー君はそんなことを言う。その、小さいころから変わらないマッタリ空気に、本当に役員やってるのだろうかと心配になってしまう。

「ねぇねぇ、与織子ちゃん」

みー君の顔を見上げていた私のスーツの腕を引っ張りながら、隣で桃花ちゃんが小さく言う。
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