ほどけるいと。
手探り
何となく,気になる。
これは,私にとって初めての,大きな恋の話。
咲いて,散った,恋の話。
幸か不幸かは,私達だけが知っている。
____________________
~高1~
「ねぇ,由芽(ゆめ)」
「なぁに?」
高校生初めての春が終わる頃。
私,丹羽 琴音は中学校以来の親友,種村 由芽に声をかけた。
「私,あのね,なんだか流雨くんとよく目が合う気がするの」
流雨くんと言うのは,今年初めて知り合ったクラスメート。
まだあまり口を利いたことはない。
中身なんてちっとも知らないけど,顔はすごく格好いい。
色白で,細すぎない細身。
鼻も高くて,顔のバランスは素晴らしい。
性格はそんなこと無いんだろうけど,物静かで,男子としゃべって無い時は控えめに過ごしている。
不思議なひと。
一緒のクラスで過ごしてても,知ってることはまだ何もない。
真剣に,真顔で相談すると,由芽は爆笑する。
「ちょっと」
ひどいと拗ねて見せると,由芽は何かピンと来たようにニヤリと笑った。
< 1 / 248 >