ほどけるいと。
手探り

何となく,気になる。


これは,私にとって初めての,大きな恋の話。

咲いて,散った,恋の話。

幸か不幸かは,私達だけが知っている。

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~高1~



「ねぇ,由芽(ゆめ)」

「なぁに?」



高校生初めての春が終わる頃。

私,丹羽(にわ) 琴音(ことね)は中学校以来の親友,種村(たねむら) 由芽(ゆめ)に声をかけた。



「私,あのね,なんだか流雨くんとよく目が合う気がするの」



流雨くんと言うのは,今年初めて知り合ったクラスメート。

まだあまり口を利いたことはない。

中身なんてちっとも知らないけど,顔はすごく格好いい。

色白で,細すぎない細身。

鼻も高くて,顔のバランスは素晴らしい。

性格はそんなこと無いんだろうけど,物静かで,男子としゃべって無い時は控えめに過ごしている。

不思議なひと。

一緒のクラスで過ごしてても,知ってることはまだ何もない。

真剣に,真顔で相談すると,由芽は爆笑する。



「ちょっと」



ひどいと拗ねて見せると,由芽は何かピンと来たようにニヤリと笑った。
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