ほどけるいと。
「あれ,(さく)何してんの?」



こんなとこで。

切れた息のまま目の前を見れば,間違えようのない知り合いがいる。

教室で別れを告げたばかりの友達。

それが朔。

不思議に思って尋ねると,朔は未知の食材を無理やり食べさせられそうになった人みたいな,意味不明そうな顔をした。

忘れ物かな。

あほだなと私は自分を棚にあげて,笑みだけ朔に向ける。

反対に,可哀想な子を見るような,仕方なさそうな顔を朔は向けた。



「はぁ…」

「あ! あのさ,先生知らない?」

「先生?」

「うん。私に用事みたいで」



私がさっさと帰ろうと朔に聞いてみると,朔は頭でも痛むのか,眉間を揉む。
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