ほどけるいと。
手離した未来 歩んだ未来
もう戻れない
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~高3~
とにかく
「可愛いんだ」
ほんとに好きなんだ。
『もう,だめなのかな』
「料理とかお菓子も上手くて」
ー不安になる。
『私のこと,ちゃんと考えてくれてるって,今は思えないの』
『琴音……琴音がそんな風になるなんて』
ーだって,付き合った当初はもっとデートだってした。
ーそんなの無くても,時間をつくって,話をしてくれた。
ーでも今は
「へぇー? ベタ惚れじゃん。最後にデートしたのいつよ? 俺ら全然見たことないどころかいつも俺らといない? なんなら知らなかったし」
「え」
「卯田は今日もいねぇーよな~」
デート? いつ,だっけ。
ずっとそんな風にして会ってないような。
卯田?
だからたまに…
~っは。
いつも琴音から会いに来てくれて。
それ,だけ?
俺から琴音に何かしたの,いつだ?
そこそこ前に,ようやく下校に誘ったきり。
それどころか……
俺はバッとスマホを取り出す。
こん,なに……?
どんどん短くなっていく,同じ趣旨の返信。
最後は『ごめん』しか返してない。
それが,ずっとずっと。
こんなの,理解してくれてるなんて言葉じゃ隠せない。
『知らなかったし』
いくら今年知り合った友達だからといって…
その言葉が,やけに耳に残った。
ーこんなにも遠い。
ー嫌いになったんじゃ,無いと思う。
『流雨はきっと,私の事を好きだと思ってくれてる』
だけど,だけどね。
どんな話も緊張しながら文字を打って,何時間も待って。
それなのに
『だけど,もう私の事なんて,前ほどちゃんと見てくれてないの。もう,堪えられないの』