ほどけるいと。
手離した未来 歩んだ未来

もう戻れない




____________________
~高3~





とにかく



「可愛いんだ」



ほんとに好きなんだ。



『もう,だめなのかな』



「料理とかお菓子も上手くて」



ー不安になる。



『私のこと,ちゃんと考えてくれてるって,今は思えないの』

『琴音……琴音がそんな風になるなんて』



ーだって,付き合った当初はもっとデートだってした。

ーそんなの無くても,時間をつくって,話をしてくれた。

ーでも今は


「へぇー? ベタ惚れじゃん。最後にデートしたのいつよ? 俺ら全然見たことないどころかいつも俺らといない? なんなら知らなかったし」

「え」

「卯田は今日もいねぇーよな~」



デート? いつ,だっけ。

ずっとそんな風にして会ってないような。

卯田? 

だからたまに…

~っは。

いつも琴音から会いに来てくれて。

それ,だけ?

俺から琴音に何かしたの,いつだ?

そこそこ前に,ようやく下校に誘ったきり。

それどころか……

俺はバッとスマホを取り出す。

こん,なに……?

どんどん短くなっていく,同じ趣旨の返信。

最後は『ごめん』しか返してない。

それが,ずっとずっと。

こんなの,理解してくれてるなんて言葉じゃ隠せない。

『知らなかったし』

いくら今年知り合った友達だからといって…

その言葉が,やけに耳に残った。

ーこんなにも遠い。

ー嫌いになったんじゃ,無いと思う。



『流雨はきっと,私の事を好きだと思ってくれてる』



だけど,だけどね。

どんな話も緊張しながら文字を打って,何時間も待って。

それなのに



『だけど,もう私の事なんて,前ほどちゃんと見てくれてないの。もう,堪えられないの』

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