猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め




翌日の放課後。

読み終わった漫画をなっちゃんに返すと、私は靴箱前で人を待った。

彼が現れたのは、ニ十分ほど経った頃。


一瞬目が合うもすぐに逸らしてきた彼の前に、私は通せんぼするみたいに立ちはだかる。




「柳沢くん。話したいことがあるの」


「……何?」




居心地悪そうな声で言われて、胸がズキッと痛む。

告白されたあの時以来、柳沢くんとは一度も話していなかった。

正確には、私が避けていた。




「あの、ちゃんと説明するから!二人になりたいの」


「……いや、いい」


「お願い」




私は柳沢くんの手を取って引っ張る。

初めは抵抗されたけど、柳沢くんごときが私の力に敵うはずもなく、すぐに諦めて付いてきた。


私が選んだ場所は、以前偽装カップルの約束をして、さらに文化祭の日に告白をされたあの空き教室。

当然だけど、文化祭のときに積み上げられていた机と椅子はすっかり片付けられていた。



< 122 / 217 >

この作品をシェア

pagetop