もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 黒い毛玉にしか見えない魔獣の子供は、いつもこうしてミディイルと遊ぶ。馬のほうも嫌がっているわけではないようで、ときどき鼻を摺り寄せたり、尾を振って遊び相手になったりしていた。

 グランツはどう見ても軍馬のミディイルに、いろいろなものを運ばせてやって来る。戦場を駆けるのが仕事であろう軍馬に、果たして木材や大工道具を積載するのは正しいのかどうか。

(自分を知ってもらいたいとおっしゃっていたけれど、わからないことばかりだわ)

 昼過ぎに来て陽が落ちる前に帰る彼を、シエルはいまだにどう扱えばいいかわからずにいる。

「どうしていつも、なにかを作っていらっしゃるのですか」

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