初恋の味は苦い
ビールは簡単に私を酔わせる。一気に眠気のようなまぶたの重みが襲ってきた。

「祥慈さ、なんで別れたの」
「ん?」
「なんで彼女と別れたの」

そう聞くと、彼は少し面倒くさそうな苦い表情をした。

「別に、好きじゃなかったからかな」
「好きじゃないのに付き合ってたの?なんで?」
「りっちゃん、もう酔ってんの?」

当たっていた。私が素面でこんなに図々しく聞くわけがない。

鳥刺しが運ばれてきた。
私はさっきまで自制心が働いていたのに、なぜか今となっては全く躊躇することなくそれを口に運んでいた。生の、本当に刺身のような肉が口の中でプルンと弾む。初めての食感。

祥慈は真ん中から左右に分けられた前髪を一部つまんで指先ですりすりと擦って、また手を座布団の少し後方に戻した。

「なんかそういう流れってあるじゃん」
「流れってなに」
「んー、流れは流れでしょ」
「エッチする流れってこと?」

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