真面目すぎた僕たちは。

過去1   佐々木梨生

付き合う前から、私達2人はお似合いカップルとしてからかわれることが多かった。別に気にしてなかったし、好きで一緒に居たからそのいじりにもノることができた。

修学旅行の最終日、蒼から告白された。全然意識したことなんてなくて迷った末、お試しで付き合うことになった。罪悪感でいっぱいだった。蒼のことを好きになるなんて思ってもみなかったから、気持ちを弄んだんじゃないかって。私の友達も、口を揃えて「梨生、蒼くんとは付き合わないっしょ」と言っていた。

「俺のこと、好き?」

蒼はよく聞いてきた。私がわからないと答える度、少し悲しそうな顔をしていたと思う。それでも私は曖昧な答えしか出せなかった。やはりキッパリ断るべきなんじゃないかと、ずっと気に病んでいた。


しばらくして、私は蒼のことが好きになっていた。自覚をしたのは、蒼と仲良くする女子に嫉妬する自分がいたから。蒼は元々モテていて、そんな人気者が私を好きだ、という事実に酔っていたんだと思う。だから、蒼が私の側を離れていくことに少なからず不快感があった。でも、そんな邪な考えを直接伝えるわけにはいかず、蒼が答えを聞いてくるまで言えなかった。

蒼と本格的に付き合うことになったとき、友達は皆、おめでとうと喜んでくれた。蒼はこれからの日常生活に期待をしていた。でも、私は愛情表現が苦手で、あまり手を繋ぐとかそういうことはできなかった。蒼はよくしたがってたけど。多分、ここから私達はすれ違っていたんだと思う。
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