結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
それからは夢中だった。毎日レース編みをしているソフィアを見ているうちに、これからも自分の傍にいて欲しいと思うようになるまで時間はかからなかった。

男子が生まれると家紋の入った指輪をつくり、それを自身の伴侶に渡すのがヘザー家の伝統だった。それに則ってソフィアには自分の指輪を贈り——、彼女に自分を刻み付けた。

 アルベルトはソフィアの肖像画を描き終わると、急いでセイリュースから王都へ引き返す。生家のヘザー侯爵家の次男としての地位を取り戻し、父にソフィアとの結婚の許しを求めるためだった。

だが、簡単にはいかなかい。

「父上、どうして許してくれないのですか。僕はグレーン男爵令嬢と結婚したいのです」
「バカなことを言うな。たかが男爵ごときの娘など、由緒あるヘザー侯爵家の嫁に相応しくはない。全く、お前の兄は外国から怪しい女を連れ帰って来たと思えば、妊娠までさせておって。責任を取らんといかん」

 話を出すタイミングも悪かった。隣国へ行っていた兄が帰国すると、隣には金髪の美人が立っていた。ローズ、彼女は兄の子を妊娠していると言い、兄と結婚する準備に入ったばかりだった。

 父は保守的な人間だったから、妊娠させたのであれば最後までしっかりと責任を果たせ、と兄に言うのを聞いていた。アルベルトはそれを逆手にとって、承諾を得ようと説得に入る。

< 138 / 231 >

この作品をシェア

pagetop