結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「これがグラスを置く時に下に敷くコースターで、こっちは花瓶の下に敷くもの。ペンダントトップも人気だし、いろいろ工夫して作っているの。最近では、一人で子育てしているお母さんたちを集めて、教室みたいなことをしているのよ」
「そうか、これがナード糸の作品なんだね。予想以上の美しさだな……、まるで君みたいだ」
「アルっ、何言っているの? もうっ、私はリヒトとちょっと上にいっているわね。片付けが終わったら呼ぶから、それまでお店の商品をみていてね」
「あぁ。そうさせてもらうよ」

 アルベルトは興味深そうに一つ一つを手に取って作品を見始めた。ぐるっと店の中を見ると、腕を組んでまるで何かを深く考えるように静かに立っている。

 ソフィアはふぅっと短く息を吐くと階段を上っていく。昨日の夕方に出て行ったままだから、物があちこちに錯乱している。干したままの下着を片付け、リヒトを素早く着替えさせた。いくら普段の様子が知りたいと言われても、煩雑な家を見せたくなかったから、ほうきをだして軽く掃除をする。

用意ができたところでアルベルトを呼びに行くと、彼は品物と値段を見ては何かメモをとっていた。

「用意ができたわよ、アルベルト。どうしたの、そんなにも商品が珍しかった?」
「いや、この値段で売られているのが信じられなくてね。ただ、同じコースターでも品物によって質が違うみたいだけど、どうしてなんだい?」
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