結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「えぇ、新しい部屋が気に入ったみたいで興奮気味だったけど、ミレーが今夜はついていてくれるって」
「そうか、それなら安心だね」

 既に浴室で湯を浴び終えたアルベルトは、白いガウンを着ているだけだった。読んでいた本を閉じると、リーディング眼鏡をその上に置く。

 緊張するソフィアの傍に立ったアルベルトは、頬にキスをすると奥の寝室へ手を引いていく。真新しいシーツの上に二人で腰かけると、アルベルトはソフィアの手を握りしめた。

「ソフィア、もし君が無理なら今夜は何もしないけど、僕は君と本当の意味での夫婦になりたいと思っている」
「う、うん」
「……僕に抱かれるのは、嫌?」
「い、嫌じゃないわ。ただ、私の経験はあなたに抱かれたあの時だけだから、恥ずかしいの」
「そうか、僕もだよ」
「えっ、うそ!」

 あの時だけと言うことは、アルベルトは六年間他の女性と何もなかったということだろうか。これだけ人を惹きつける容姿をして、会社の社長をしているアルベルトに群がる女性は多いことだろう。誘惑されても相手をしてこなかったとは、ソフィアは思ってもみなかった。

「嘘じゃない。君のことを一途に愛していた、必ず探し出すと決めていたからね」
「アル、本当に……、私のことをずっと想っていたのね」
「記憶はなくても、こころが約束をおぼえていた。君を裏切ることなど出来ないって」
< 211 / 231 >

この作品をシェア

pagetop