結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

 アクセサリーや質のいい日常着、帽子に手袋と、ソフィアは今やどこからどう見ても品のいい貴族の奥方にしか見えない。手の荒れもなくなり、髪に艶があり血色もいい。少し化粧をした肌に赤くさした唇は、男女を問わず惹きつける魅力が増していた。何よりも、内側から幸せがにじみ出ている。

 ソフィアが結婚の返事をしてからすぐに、アルベルトは迅速に手続きをしてソフィアの身分を回復させていた。グレーン男爵とソフィアの兄に連絡を取ると、まさか消えた娘がヘザー侯爵の奥方となると聞き随分と慌てていたという。

 義理の父と兄になるから、とアルベルトはグレーン男爵領へ優秀な人材を派遣し、領地経営を立て直すと言う。体調を崩した父を入院させ、治療費も受け持ってくれることになった。兄は留学していた知識を生かし、隣国にあるヘザーズ支社で働くことを希望したという。

 ソフィアはリヒトを連れて王都に行き、家族に会おうとしたがアルベルトがそれを止めていた。もう少し、ソフィアもリヒトも新しい生活に慣れた後の方がいいと判断したからだ。ソフィアも今はまだ、父に顔を見せる勇気が持てなかったため、その言葉には助けられた。

< 214 / 231 >

この作品をシェア

pagetop