結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 ミリーに親し気に話しかけ、談笑している。父か兄の着替えだろうか、白いシャツをはおり黒いズボンをはいている。美男子はどんな服を着てもかっこいいものだと、ソフィアは微笑んで二人を見た。

 ソフィアが入って来たことに気がついたアルベルトが振り返ると、一瞬目を大きく見開いた。

「凄い、ソフィア……綺麗だ」
「えっ、あの?」
「本当に君の珊瑚色をした髪は美しいね。空の色をしたドレスも、よく似あっているよ」
「あっ、ありがとう」

 男性から容姿を褒められることは珍しくないのに、今日はやけに恥ずかしい。舞踏会に行けば、同じような言葉は挨拶がわりだというのに、アルベルトから聞くと胸に響いてしまう。

 恥ずかしくて俯いてしまいそうになるけれど、今は自分がこの家の主人だからと顔を上げて、ソフィアはミリーに声をかけた。

「ミリー、もう食事の用意はできているの?」
「えぇ、お嬢さまもお座りください。今、温かいスープをお持ちしますからね」
「ありがとう、アルベルトも座って」
「では、遠慮なく」

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