結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 久しぶりにウエストを引き締め、コルセットをつけてドレスを着る。すっかり着方を忘れてしまったので、ソフィアは侯爵家の侍女たちに任せることにした。朝から髪を洗い香油をつける。髪はまだ短いため、ピンを使い髪をとめる。耳のところだけおくれ毛のように残し、アップにまとめることにした。

 今夜はレース編みの職人として呼ばれている。なんとアルベルトはソフィアの夫としての参加だ。彼の方がよほど顔も広く王族にも近い人なのに、招待状にはソフィアの名前がしっかりと記されていた。

「今夜は君が主役で、僕はサポート役だよ」
「そんなこと言って、アルベルトが全部仕掛けたんでしょ」
「いや、君のレース編みの技術が素晴らしいからだよ。ソフィア、自分を十分に誇るんだ」

 アルベルトはそう言うけれど、ソフィアは自分の力だけでレース編みを評価してもらえたとは思っていない。アルベルトがヘザー侯爵の地位を使い、ヘザーズの影響力を使って王族に献上したのだから無視できなかったに違いない。

 王室御用達を名乗れるのは、選ばれてから三年だけだ。また来年も選んでもらえれば、それだけ期間が延びることになるから、これからの作品作りも気が抜けない。

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