結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
どれだけ質問してもいつもアルベルトにははぐらかされてきた。きっとソフィアには教えることのできない理由があるのだろう。本当は彼のことをもっとよく知りたいけれど、もしかするとアルベルトにとってこの恋は、ひと夏だけのものかもしれない。

アルベルトはパレットに落とした白い絵の具を筆に含ませると、細い光の筋を髪に足していく。絵を描くことに集中している彼はとても凛々しくて、本当はいつまでも見ていたい。

 ソフィアはもっと、もっと彼と将来の話をしたいと思うけれど、思うようには何も先に進まない現状に、焦りを覚えていた。何の約束もないままで、夏が終わってしまうのだろうか——……





「ソフィア、見て。完成したよ」
「まぁ、これが私?」

 肖像画というよりは、部屋にいるソフィアをそのまま切り取ったような絵だった。少し俯きながらレース編みをしている。手元にあるレースの模様まで、綺麗に描かれていた。

「ありがとう、アルベルト。すごい、早くミリーにも見せたいわ」

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