結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 最初の満月までは、今か今かと毎日ソワソワしながら待っていた。それが過ぎると、今度は不安が押し寄せてきた。どこかで事故にあったのではないか、何かよからぬことがおきたのではないか。だが、それを確かめる術をソフィアは思い浮かべることができなかった。

 ヘザー侯爵家は国内でも有力な貴族の一つだ。大規模な領地と、最新式の機械を使った工場をいくつも持っている。近年の技術革新に投資し、上手に取り入れて発展させた。今や王族を凌ぐ規模の収入があるため、いくつか工場を国に寄付したと聞く。

 そんな大富豪でもある侯爵家に、昔ながらの農業中心の領地を持つだけのグレーン男爵家などは相手にされないだろう。たとえアルベルトが次男であっても、ソフィアが望んだからといって簡単に結婚できる相手ではなかった。

 だから、アルベルトもソフィアと結婚する許可を得るために苦労しているのかもしれない。王都に帰ってきて、ヘザー侯爵家のことを知れば知るほど、家格差を思い知らされてきた。

(アルベルトに会いたい)

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