結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 涙を流しながらも、今が社交シーズンであることを思い出す。もし、彼がヘザー侯爵の後継ぎであれば、どこかの夜会に出席するであろう。特に、王族がらみの夜会であれば主要貴族の出席は義務づけられている。

「そういえば、もうすぐ陛下のご成婚記念祝賀会があったわ」
「はい、そこでしたら主要な貴族の皆様がお集まりになります」
「ミリー、お父様に伝えて。それが終われば何でも言うことを聞くから、祝賀会に出席させてって」
「わかりました」

 きっと、祝賀会に行けばアルベルトに会える。本人に会って妊娠のことを伝えればきっと、父に結婚の話をしてくれるだろう。そうすれば、さすがに父も認めてくれるに違いない。

ソフィアはまだ、彼との未来を諦めてはいなかった。





 至る所で篝火が焚かれ、豪華な宮殿が煌々と輝いている。祝賀会の開かれる広間では、国内の主要な貴族が集まっていた。

 ソフィアは珊瑚色のふわりとした長い髪をおろし、ウェーブをつけて真珠をちりばめ、下にいくほど青が濃くなるグラデーションのドレスを着た。首にはアルベルトから貰った指輪に細いチェーンを通したネックレスをしている。

< 56 / 231 >

この作品をシェア

pagetop