結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
第二章 セイリュースの街

6年後

セイリュースの海風は南から暖かい空気を運んでくる。冬でも雪が積もることもなく、夏もカラリと晴れて過ごしやすい。

 ソフィアは男の子を産んだ。グレーン男爵家を出た後、セイリュースで雑貨店を営むエルーサを頼ると、彼女は店番をすることを条件に二階に住むことを許してくれた。今は商品となる小物を編んだり、刺繍をしたりして何とか暮らしていけるようになった。

初めての出産で、それも一人で産むことに不安の大きかったソフィアだったが、エルーサが親身になって助けてくれた。鞄一つで家を出て来たソフィアを迎え入れてくれただけでなく、出産時も何かと助けてくれた。

エルーサは一度結婚したけれど、まだ新婚のうちに夫に先立たれそれ以来一人で暮らしている。夫の遺産を元手に商売を初め、今は不動産にまで手を伸ばしているやり手の女性だ。黄色の強い金髪をいつも後ろで一つに結い、髪飾りでとめている。三十歳半ばと思われるが、見た目は若々しくて爪の手入れもきちんとしている。

ソフィアはまだ若くて美人なのにお洒落をしていないと怒られるが、着飾るお金があれば子どもに使いたくて、なかなか自分の為に使う気持ちにはなれなかった。

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