結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
ソフィアは自分の想いに蓋をして、残像を消し去るように頭を振ると、ナード糸で作った作品を見繕う。この作品を見ればきっと、アルベルトも考え直してくれるだろう。

ソフィアは優しい笑顔のアルベルトを思い出すと、リヒトにそれを重ねる。こんなに優しい子のパパだからきっと大丈夫、とソフィアは願いながら眠りについた。





 快晴となった翌日、リヒトを再びレティに預けるとソフィアは持っている洋服の中でも一番まともなワンピースを取り出した。緑色をしたエプロンドレスを着て店にある鏡を見る。口紅の一つでもつけたいけれど、あいにく化粧道具なんて持っていない。

(アルベルトに会うだけじゃない、お化粧なんてしなくたって……)

 そう思うけれど、十八歳の頃と比べると肌はくすんでいる。彼に何度も気に入っていると言われた珊瑚色の髪は、手入れもできないから短く切ってしまった。

 はぁ、とため息がでるけれどしょうがない。昨日のうちにエルーサに事情を話せば、仕方がないといってしばらくお店を閉じることを許してくれた。

 彼女は何も聞かなかったけれど、ソフィアとリヒトの過去に何か関係あることだと薄々気がついているようだ。本当ならエルーサにも相談した方がいいのかもしれないが、リヒトのことはどこから話が漏れるかわからず、ソフィアは何も言えないでいる。

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