国民的アイドルの素顔についての報告書
「ごめん、」
「なにが」
「ライくんのとこ、行こうとした」
「うん」
いつもの強気さはなく、拓斗の声も心なしか落ち込んでいるようだった。周囲からの信頼と、確かな実力。それから生まれる拓斗の自信は、いつしか私をも強くした。
だから、拓斗が不安なときは、私も不安なんだ。
「ねぇ拓斗、こわいの」
そう言った私の手を、拓斗はそっと握ってくれた。
「拓斗が私を痛いくらいに抱きしめて、ライブのときと同じような言葉をかけてくるときね、私って、拓斗にとってファンの子と同じくらいの価値なのかなって思うんだ」
ひとつ、息を吸う。
「俺様で、強気で、自信がある拓斗しか私は知らない。そんなの、他の女の子と一緒じゃん。そうじゃなくて、私には優しくしてほしい。優しく抱きしめて、頭撫でて、名前呼んで、好きって言ってほしい」
拓斗を、私のものだって思わせてほしい。
そこまで言い切ると、また沈黙が私たちを包み込んだ。
顔なんてあげられない。拓斗がどんな顔をしてるのか、見たくなかった。
「もし私が面倒だったら、早くフって。普通の兄妹に戻りたい」
最後の方なんて、もう何を言ってるか自分でもわからなかった。思ってもないことを言ったかもしれない。けど、もうこれ以上の言葉は出てこなかった。
「……言いたいことはそれで全部?」
「うん」
「そっか」
「なにが」
「ライくんのとこ、行こうとした」
「うん」
いつもの強気さはなく、拓斗の声も心なしか落ち込んでいるようだった。周囲からの信頼と、確かな実力。それから生まれる拓斗の自信は、いつしか私をも強くした。
だから、拓斗が不安なときは、私も不安なんだ。
「ねぇ拓斗、こわいの」
そう言った私の手を、拓斗はそっと握ってくれた。
「拓斗が私を痛いくらいに抱きしめて、ライブのときと同じような言葉をかけてくるときね、私って、拓斗にとってファンの子と同じくらいの価値なのかなって思うんだ」
ひとつ、息を吸う。
「俺様で、強気で、自信がある拓斗しか私は知らない。そんなの、他の女の子と一緒じゃん。そうじゃなくて、私には優しくしてほしい。優しく抱きしめて、頭撫でて、名前呼んで、好きって言ってほしい」
拓斗を、私のものだって思わせてほしい。
そこまで言い切ると、また沈黙が私たちを包み込んだ。
顔なんてあげられない。拓斗がどんな顔をしてるのか、見たくなかった。
「もし私が面倒だったら、早くフって。普通の兄妹に戻りたい」
最後の方なんて、もう何を言ってるか自分でもわからなかった。思ってもないことを言ったかもしれない。けど、もうこれ以上の言葉は出てこなかった。
「……言いたいことはそれで全部?」
「うん」
「そっか」