愛される女の恋愛テクニック

別の生き物


 あっ――と、思いはしたけど、声には出さなかった。


 休憩室の入り口で。


 中に入る前に、休憩室の中にいる櫻庭さんの姿を見つけた。


 これまでと同じように、俯き加減でスマホを見てる櫻庭さんは、多分まだわたしに気付いてない。


 櫻庭さん以外に人がいない休憩室に入ると、気配を感じたのか櫻庭さんが、こちらに視線を向けた。


 櫻庭さんの視線は、告白前と変わらず、すぐにスマホに戻っていく。


 目が合ったら話しかけられると思ってただけに、拍子抜けした気分になった。


「お疲れ様です」

「うん」
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