愛される女の恋愛テクニック

抗えない流れ


 週明けの月曜日。始業時間から間もなくして、わたしが勤めてる会社の、社内連絡用として全社員が使ってるビジネスチャットツールのアプリに、一件の個人宛のメッセージが届いた。


 メッセージ内容を開く前に、送信してきた相手を見て、体から飛び出してしまうんじゃないかと思うくらい、心臓が跳ね上がった。


 この会社が、社内用の為だけに独自で作ったらしいビジネスチャットツールアプリは、送受信で表示される名前の部分を好きなように変更出来る。


 そのアプリに表示されてる、送信してきた相手は、わたしがこの会社に勤めて約一年、ただの一度も個人メッセージなんて送ってきた事がない、櫻庭さんだった。


 見間違いかもしれないと思って、一旦視線を天井に向けて、パソコンの画面を二度見した。


 だけどやっぱり、送信してきた相手の名前の箇所に表示されてるのは、「技術開発部の櫻庭」って文字。


 一瞬、技術開発部には、他にも「櫻庭」がいるかもしれないと思った。
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