愛される女の恋愛テクニック
 でもすぐに、その考えは浅はかすぎると分かって消した。


 もし技術開発部に他にも「櫻庭」がいたとしたら、「技術開発部の櫻庭」とは書かないだろうし、そもそもあの(・・)櫻庭さん以外で、わたしに用件がある人なんて、技術開発部にはいない。


 メッセージに何が書かれているのかと、緊張した。


 緊張から体がフリーズした所為で、パソコンの画面を数秒見つめてた。


 数秒の(のち)、メッセージ内容を見る為にマウスを握った手が、微かに震えてた。


 ドキドキしながら開いた、櫻庭さんからのメッセージの内容は、理解し(がた)いものだった。


 余りにも理解出来なかったから、三度読み直したあと、一度アプリを最小化した。


――どういう……?


 頭が困惑でいっぱいになって、これに返信は必要なのかどうかさえも分からなかった。
< 29 / 187 >

この作品をシェア

pagetop