ブルー・ロマン・アイロニー
You are my Everything


もちろん一睡もできることなく朝を迎えたわたしは、7時半ぴったりに起こしてきたノアの手から逃れるように身をよじる。

夜にあれだけいろんなことを考えていた頭が、朝になると途端ぼうっとするのが憎らしくてたまらない。


こころなしか顔が火照っているように感じたので、「熱っぽいから今日は学校休もうかな」と試しに言ってみたら、「体温、脈拍数共に異常なし。よって熱は出てねえ」とすげなく返された。「しいていうなら血圧が低い。朝飯で塩分とってけ」とも。


しぶしぶ制服に着替えて、ノアの用意したちょっと味付け濃いめの朝ごはんを食べる。

身支度を整えたわたしがアパートを出ようとしたら、ノアもついてこようとしたから。



「あ、ちょっと待って」

「なんだよ。忘れもんか?」

「じゃなくて、ノアは今日はここにいて」

「はあ~?なんで」


自分だけ置いていかれそうになった子供がするように抗議をされる。

わたしは未だはっきりしない頭で、さっきお天気お姉さんが言っていた予報を思い出す。



「台風が近づいてるんだって。今日も午後からかなり雨が降るらしいし。いくら防水機能がついてるとはいえ、万が一のことがあったら困るでしょ」

「万が一のことがあったときのために俺がいるんだろ」

「人間は大丈夫なの。とにかく今日は部屋でおとなしく過ごしてて。わかった?」

「……わかった」


不服そうだ。

そりゃあ、そうだよねとひそかに思う。

いままで置いていったことなんてないんだから。


でも仕方ないものは仕方ない。

わたしは多少、後ろ髪を引かれる思いになりながらも、心を鬼にして玄関ドアを開けた。


じつはこのとき、わたしは傘を持って出ることを忘れていた。

だけど放課後になるまでそのことに気付かなかったし、仕返しかそれともただ単に忘れていただけか、ノアも傘の存在を口にすることはなかった。


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