自信家幼なじみが隠すもの



 どうしよう、ムカッとしてきてしまった。


 ここで初めての大喧嘩をかましたところで私は後悔しないと思う。


 激おこな私の様子を察したのか、大和くんは慌て始めた。


「待って桃、怒るな。桃のことを疑ってるんじゃなくて、俺が自信ないだけなんだ」

「大和くんが……?」

「俺だって自信がなくなるときくらいあるし……桃が絡むとなおさら」


 元からポジティブではない私だけど、より一層ネガティブになるのは大和くんが絡むときだ。


 大和くんが言ってるのはそれと同じことで……自信家の大和くんがネガティブになるだなんて、本当に私のことが大好き過ぎるんだね。


 さっき止まったばっかりの涙がまた出そうになってくる。


 大和くんの前では泣かないようにしてるんだけどなぁ……。


「大和くんを嫌いになることなんてないよ」

「それを聞けて安心した」

「もしもそんな方法があるなら教えて欲しいくらいだもん」

「山ほどあるけど教えてやらねー」


 軽口を叩きながらあっさりと開かれた秘密の部屋の扉。


 そこに広がっていたのは見覚えのあるものたちで。


「大和くんがやってるゲームのキャラたち……?」

「そう。俺がハマってるゲームのキャラのグッズ部屋」

「すごい量だね」


 壁に所狭しと貼られているのはゲームに出てくるモンスターたちのポスター。


 ドラゴンだったりスライムだったり、色とりどりで様々なキャラの絵が爛々とした目でこちらを見ていた。



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