自信家幼なじみが隠すもの



「俺的にはこのぬいぐるみが触り心地よくて推してる」


 大和くんの指の先にはもふもふしてそうなピンクの可愛い猫さんが姿勢よくおすわりをしていて。


 近づいてみると、私が抱き着くとちょうどよさげなサイズ感なのがわかった。


「おぉ、指が沈んでいく……!」

「だろ! このキャラはゲーム内でも癒し担当でさ~」


 途端に早口になる大和くん。


 専門用語がばかりが羅列されて私にはさっぱりわからないけれど、好きなものについて語っている大和くんは幸せそうだ。


 この部屋に通したってことはお友達みんなこのゲームが好きで、好きなもの同士で仲良く話に花を咲かせてたってところ……?


「うわ、ごめん! オタクを発揮しちまった……俺のこんなところ見て嫌いになった? うざくないか?」

「全然大丈夫だよ。むしろ、自分の勘違いに頭が痛くなってる……恥ずかしい」

「いや、まぁ。そのイヤリングしてたやつは1回俺に告白してきてたし、俺がリビングにいる隙に小細工したかもしれねー」

「……やっぱり大和くんが悪いんじゃん」

「本当にごめん……」


 冷静に考えたら、私よりも先に大和くんの秘密を知ったってことでしょ?


 ものすごく悔しくて仕方がない。



< 29 / 31 >

この作品をシェア

pagetop