姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
長い廊下を進んでいた。
大きな扉が両開きに開くのを見て、たじろいでいると……。


「おはよう、ウェンディ」

「おはようございま…………………す?」

「想像通りの反応で嬉しいよ。昨日、セバスに髪を整えてもらったんだ……久しぶりに視界良好だ」

「……………」

「驚いた?」

「……………はい、とても」

「ウェンディの顔がよく見えて、照れるな……昨日はよく眠れた?」


コクリと首を縦に動かすので精一杯だった。
何故ならば目の前に居るのは今まで知っている"ゼルナ"ではなかったからだ。
にっこりと微笑んでいる姿を見て戸惑ってしまう。

もはや誰だか分からないくらいに別人の美男子である。

もっさりと覆い隠された前髪で目元が見えなかったし、羊のようなモコモコとした毛は綺麗さっぱりに整えられて短くなっている。

涼やかな目元が細まると心臓が口から飛び出してしまう程にドキリと跳ねた。
目を見開いてゼルナを凝視していたことに気付いてハッとする。


「ほっ、本当に、ゼルナ様ですよね……?」

「うん、そうだよ」
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