【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
このままでは取り残されてしまう。
それだけはプライドが許さない。
今まで来た手紙をひっくり返して身分が高い順に連絡を取っていく。

しかし返ってきた返事は「もう婚約者が居るから」「今は相手が決まっている」そんな返事ばかりだった。
余裕のある令息達と違って、此方は期限が設けられている。

足元が暗くなる。
体が冷えていくのを感じていた。

今、婚約を申し込んで来るのは子爵に男爵と自分の家よりも同じか身分が低い令息ばかりだった。
自分より身分が高い唯一の令息、マルカン辺境伯の嫡男であるゼルナから来ていた真っ黒な封筒は一番に破り捨てた。

(仮面を付けていつも一人でいる男……気持ち悪い)

けれど、同じ子爵や男爵の婚約者なんてプライドが許さない。
友人達にも「結局、そうなったのね」と、馬鹿にされる事だろう。

母は「だから言ったでしょう?」と声が聞こえた。
その言葉を認めたくなくて「煩いのよ!」と声を張り上げて部屋に飛び込んだ。

(有り得ないわ!有り得ないのよ……!ウェンディの婚約者よりも身分の低い令息となんて、結婚出来るわけないでしょう!?)

母の勧めで会ってみるものの、やはりどの令息も気に入らない。
気にいる訳がないのだ。

(こいつらは、わたくしの隣に並ぶ資格はないわ!)
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