何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する


必死に服にしがみ付くカーティスの顔は、アンジェリカに殴られて皮膚が鬱血して、引っ掻かれたせいで以前の面影はまるでない。

可笑しくて堪らなかった。
助けを求めるカーティスの姿が、こんなにも渇いた心を潤してくれる。

カーティスの運命を決めるのは女神ではない。

(貴方が王になる未来なんて……永遠に来ないわ)

今からライナス王国を滅ぼすのだから。

(嗚呼、なんて素晴らしいの)

女神の名を使い、女神の守る国を壊していく。


「カーティス殿下の事を御守りしたいですが……女神様に嘘をつくわけには」

「こ、今回のことは間違いなんだッ!!本当はこんな事するつもりは…っ」

「確かに、誰にでも間違いはありますものねぇ‥?」

「そっ、そうとも!その通りだよッサラ!!」

「けれどそれは女神様がお決めになる事ですから、私には…」

「ーーッ!!本当だ!信じてくれ…!何でも、何でも言うことを聞くから……っ!」


一度突き放してから味方をする。
揺さぶっていけば自然と行きたい方向へとコントロール出来る。
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