何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する
「陛下、儀式の前にお伝えしたい事が…」

「なんだ…?」

「女神様が私に教えて下さったことがあるのですが」

「申してみよ」


国王を見据えながら、口を開いた。


「"力なき者は大結界の贄になれず"……と。」

「……ッ!!」

「陛下はその意味をご存知でしょうか…?」

「いや……」

「私には女神様が何を伝えたいのか分からないのです」

「……」


明らかに動揺している国王はサッと目を逸らす。
穏やかな笑みを浮かべながら国王に問いただす。


「陛下ならば何かご存知かと思い尋ねてみたのですが…」

「…っ」

「"贄"とは、何のことなのでしょう?」

「……さぁな、儂にも分からぬ」

「大結界を張る際に、何も起きなければいいですね」

「そ、そうだな」


今の発言で、国王がどう動くかが鍵となってくる。

女神の言う通りにして、力のあるアンジェリカを大結界を張る為に使うのか。
それとも力の無いと分かっていても異世界人であるサラを贄にするのか。
アンジェリカと共に聖女の間に押し込むか。
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