何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する
「僕にはサラしか居ないんだ!サラの事しか考えられない……」
「……っ」
「ずっと、僕の側にいてくれ……」
「わ、私で良ければ喜んで…!」
「良かった……あぁ、サラ!愛しているよ」
カーティスの言葉に満面の笑みを浮かべて返事をした。
二人の想いを伝えに行くと、国王は難しい顔をした。
しかしカーティスがどうしてもと頼み込むと、国王は二人が婚約することを了承した。
喜ぶ二人に向かって、国王は婚約していることは大結界を張り終わるまで秘密にすること、と条件を加えた。
カーティスと結界が無事に張り終えたら正式に結婚式を挙げようと約束した。
今からその日が待ち遠しいね、と笑い合った。
喜びながら部屋に帰った。
異世界に来てから辛い事も沢山あったが、こうして好きな人と結ばれる事ができた。
カーティスと結婚するということは、この国の王妃になるという事だ。
ライナス王国の歴史を勉強したり、カーティスの隣にいても恥ずかしくないようにマナーやダンスを学び始めた。
まるで御伽噺のようなハッピーエンドだった。
心は温かくて幸せな気持ちに満ちていた。
ーーー大結界を張るまで一か月となった時
急にカーティスの態度が余所余所しくなった。
話しかけても「今は忙しいから」と言って、此方を避けるようになった。
それでもカーティスが心配になり、どうしたのかと尋ねると「大丈夫だよ」と笑って何処かへ行ってしまう。
カーティスに会おうとしても公務が忙しいと言われれば、何も言えなくなった。