何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する
(きっと、大結界を張り終えれば……!)

アンジェリカは以前よりも機嫌が良さそうに笑っていた。
相変わらず優しくて、アンジェリカに色々と貴族のルールを教わりながら期待に胸を膨らませていた。


「……ライナス女神が私をこの国に召喚したんですよね」

「そうね…」

「私、ライナス王国の為に頑張りますねっ!」

「ふふっ、えぇ…………頑張ってね」


明るい未来に包まれていた…はずだった。

しかし心に暗雲が立ち込める。
最近、アンジェリカとカーティスが一緒にいる姿をよく目にするようになった。


「最近、カーティス殿下とはどうなのかしら?」

「………お忙しいみたいで、全然会ってないんです」

「あら、昨晩はわたくしの部屋に……あっ」

「アンジェリカ様、それって…?」

「何でもないわ!サラ、忘れて頂戴」

「………でも」

「大結界を張る日が待ち遠しいわね…!」

「そう、ですよね」


(大結界を張り終えれば、カーティス様だって…)

敢えて小さな棘には気づかないフリをした。
信頼している二人ならば大丈夫……そう言い聞かせるしかなかった。

待っている明るい未来の事だけ考えるようにした。
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