何もかも奪われた純白の聖女は全てを破壊する
侍従は顔を青くした。
その体はガタガタと震えていた。

周囲にも不安が広がっていく。

いくら力が少なくても異世界人の聖女は、ライナス女神の導きで召喚された大切な存在である。
どんな聖女でも結界を張るのには役立つ。
只、事情を知らない人達にとって聖女は女神と同じように尊い存在なのだ。


「……天罰が下るわッ!!」

「恐ろしい…!」

「聖女様が居なくなるなんて…っなんて事を」

「もし、異世界人の聖女様が見つからなかったら…!」


その場に居た侍女達が声を上げる。


「皆、聞け…!まだ異世界人の聖女の存在は、民衆に発表していない」

「!!」

「急いで探せば大丈夫……そうだな?」


力の篭った国王の言葉に、皆が戸惑いながらも静かに頷いた。
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