【短編】保健室の常連客

じっくり味わっていたら、おかわりを勧められた。


気持ちは嬉しいけど……食べ盛りの彼のご飯を、これ以上減らすわけにはいかない。

お礼を言って、丁重に断った。







「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした!」



十数分後、保健室に再び私達の声が響いた。



「お肉、すごく美味しかった。広川シェフ、ありがとうございました」

「いえいえ。喜んでもらえて光栄です」



手を合わせたまま、お互いに頭を下げ合う。


先ほどいただいた、味が染み込んだ豚しゃぶ肉。
なんと、広川くんが味つけしたんだそう。

昨日はおばあさんとおじいさん、3人で晩ご飯を作ったんだって。


さらに。



「今日は何買う予定なの?」

「キュウリとキャベツとニンジン。今日はそこまで混まないと思うけど、一応早く買いに行くつもり」

「そっか。美味しいのが買えるといいね」



昨日に続き、今日も学校終わりにスーパーに行くという。
どうやら水曜日は、野菜が安い日らしい。
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