【短編】保健室の常連客

1年生の分が終わり、肩をほぐしていると、勢いよくドアが開いた。



「あらっ、武田くん。と……広川くん?」



やってきたのは、同じく保健委員の武田くんと──彼におんぶされている広川くんだった。



「どうしたの⁉ どこか具合悪い⁉」

「いえ。寝てるだけです」



ベッドに下ろしながら、先生に説明し始めた武田くん。


食堂で昼食を取った後、渡り廊下を通って保健室に向かっていたら、通路の端っこで横たわっていたそうで。

意識はあったのだけれど、暑い中放って置くわけにもいかなかったため、連れてきたという。



「無事で良かったけど……少し顔色が悪いわね。肌も荒れてるし。先週の疲れが取れてないのかしら」

「疲れって?」

「実は、今月に入って、家族が立て続けに体調を崩しちゃってね。ここ最近、1人で家事をしてたみたいなの」



その瞬間、プリントをまとめる手が止まった。


家族が立て続けに……。1人で家事を……。
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