若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「今夜は帰りが遅くなる。先に休んでいてくれてかまわない」

「そう。わかったわ」

「寂しいか?」

慶の視線がちらりと美夕を探る。

寂しいと言わせたいのだろうか。だが、寂しいと言えば小馬鹿にするつもりだろう。いずれにせよ、美夕の性格では強がるしかない。

「ぜんっぜん。そんなことはっ」

「そうか」

慶は一瞬口もとを緩め、マスカットを口の中に放り込む。

見透かしたような表情が本当に腹立たしい。

美夕はふたり分の食器を食洗器に放り込み、家を出た。



その日の夜。シャワーを浴び終えた美夕は、ソファに座ってフォンダンウォーターを飲みながら深い息をついた。

手にはインビテーションカード――文嶺出版三周年記念パーティーの招待状だ。

ぜひ夫婦同伴で――と言われたものの、さすがに慶を連れていくわけにはいかない。

社員の中には、経済誌や報道を担当している人間もいる。見る人が見れば慶の素性など一発でバレてしまう。

ただでさえ慶はルックスのよさと手腕で世間を騒がせている。気づく人間は多いはずだ。

「やっぱり、まずいわよね」

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