若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
少しでも幸せそうな顔をしてくれたら安心できるのだけれど――そう期待してじっと見つめていると、さすがに不思議に思ったのか、慶が首を傾げた。

「どうした?」

「慶は……こういうの、好き?」

なにかを察したのか、慶の目に温もりが宿る。

「嫌いだったらやらないと思わないか?」

「でも……慶の顔って、いつも同じだし」

慶がふっと吐息を漏らし、美夕の両頬を包み込む。

「もっと猛獣のように昂った顔をしろと?」

「そこまで言ってない! ……けど」

美夕がもじもじしていると、シンプルに正面から抱き留められ、頭をぽんぽん撫でられた。

「いじけるな。子どもか」

ムッときて顔を上げると、慶の誠実な目がふてくされた美夕を待ち受けていた。

「当然のことをいちいち言わせるな」

そう冷徹に前置きして、額にちゅっと甘いキスを落とす。

「愛している。お前に触れていたい。一秒も我慢できない。……これで満足か?」

「……満足」

満たされると同時に照れくさくてたまらない。再び伏せ、慶の胸の中に顔を埋める。

頭の上から、涼やかな、でも挑発的でいじわるな声が降ってきた。

「俺のことは満足させてくれないのか?」

慶も言葉にしてもらいたいとは意外だ。

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