若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
そういえば、美夕はこれまで「好き」や「愛してる」をきちんと言葉で伝えたことがなかった。

「好き」

「それだけか?」

「……愛してる」

「もう少し語彙をどうにかしろ」

編集者の身で語彙がないと言われるのは心外だが、こんな言葉を雑誌で使うことなどないので当然といえば当然だ。

「…………触れてほしい」

素直な感想を口にすると、慶は満足したようで「ああ」と承諾して美夕のシャツの裾に手を突っ込んできた。

「きゃ! ……違、そういうことじゃないの」

慶の指先が美夕の胸の膨らみに食い込む。こういう官能的な『触れてほしい』ではなかったのだが。

「もっと、その、優しく、撫でてくれるのが好き、というか……」

「撫でる、ね」

「あっ……違っ――」

撫で方がとびきり妖艶だった。喉の奥から掠れた声が漏れる。

慶は近くに置いてあったレモンウォーターを口に含むと、そのまま美夕の唇を奪い、喉に流し込んだ。

口の端からひと筋こぼれ落ちるが、喉の奥にもこくこくと入っていく。

「口移し、うまくなっただろ?」

ドヤ顔が憎らしい。

「水分補給完了。これで好きなだけ啼けるな?」

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