若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
十八歳で未経験なのは、恥ずかしいことではないし、夫は見るからに経験豊富そうな見目をしているから、問題なくエスコートしてくれるだろう。

冷静に考えて不安なことなどなにひとつないと、自分に言い聞かせるが――。

(食べられるのを大人しく待っているだなんて、変な気分だわ)

そんなとき、雑誌のページをめくっていた――正しくはスワイプしていた――手が止まる。

『愛されるカラダ♡の作り方』という特集ページを発見し、美夕の目は釘付けになった。

(なになに……大切なのは作り込みすぎないこと……?)

調査によると、男性のうち七九パーセントが『自然なカラダが好き』と答えている。

ほどよい柔らかさのふんわりボディ――そんなフレーズに、思わず自身の体を覗き込む。

(ほどよい柔らかさではあると思うけれど……そもそも、あの慶さんのお眼鏡にかなうかしら)

十年前、すでに確立されていた慶の美貌を思い出す。

あの極上の男性が、美夕の凡庸な体に満足するだろうか。

平均的な身長に平均的な体重、大きくも小さくもない胸、特徴のない顔立ち。

今さらそんなことを気にしても仕方がないと理解しながらも、ままならない感情がそわそわと胸をかき乱す。

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