さくらの結婚
 次の日、ブライダルフェアに行った。

 来場者は若いカップルだけかと思ったが、その両親らしき中年の男女も多数参加していた。僕も間違いなく両親らしき中年として見られてるんだろうなと思いながら、会場内を歩いた。  

 ウェディングドレスが飾られてるコーナーで思わず足が止まる。
 さくらに似合いそうなドレスが目に入った。スカートにボリュームがあり、お姫様が着ていそうなデザインだった。 
 
 さくらもいつかこんなドレスを着て結婚するんだろうなと思った瞬間、腹の底から言い知れぬ寂しさが浮かびあがって来た。

「お父さんここにいたんだ」  

 肩をポンと叩かれ振り向くと、髪をまとめ、黒いスーツの制服を着たさくらがいた。
 仕事が出来そうに見えるのは親の贔屓目だろうか。

「何?」  

 じっと制服姿のさくらを見る僕にさくらが聞いた。

「制服いいなと思って」
「しっかりして見えるでしょ。これぞ制服マジック」  

 さくらが楽しそうに笑い出す。

「中身もしっかりしてるよ」  

 僕の言葉にさくらが嬉しそうな顔をした。
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