呟きシチロー
その青年のYシャツの胸には【鈴木(新人)】のプレートが付いています。『まだ新人なので、少々の粗相は大目に見て下さい』という事なのでしょう。



「おい、鈴木君。わからない事があったら何でも聞いてくれよ、俺達でよかったら何でも教えるよ♪」



実際には僕達は従業員では無いので、あまり教えられる事も無いのですが、この爽やかな青年をなんとか応援したいという気持ちからそんな言葉が出たのだと思います。



「ありがとうございます!だけど、大丈夫ですよ」



「おーっ♪頼りがいがあるね〜♪」



そんな和気あいあいな雰囲気のまま、鈴木君は厨房の方へ戻って行ったのです。



そして、その鈴木君と入れ違いに店長がやって来ました。


「失礼します。ご注文伺いに来ました♪」


「店長、ヨカッタね♪新人が入って♪」


「えっ?鈴木がまた何か?」



「また?」



「い……いえ、なんでも無いです」



その時の店長の様子は、明らかにいつもと違っていました。それでも僕達は、その事には得に言及はせずに生ビールと幾つかのつまみを注文したのです。



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